世界を恐怖のどん底に陥れた感染症の数々を紹介

麻疹 


 病原体:麻疹ウイルス 
 感染力:極めて強い 
潜伏期間:7~14日 
感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染 
  症状:発疹、発熱、上気道炎 
 致死率:10~30% 
 治療法:対処療法 

感染者の近くにいただけで感染する。感染力はインフルエンザの十倍以上とも言われる。 
感染後の発病率は90%を超え、有効な治療法はない。
唯一の予防法は予防接種。感染確率を限りなく0に近づけてくれるが、どの病気にも言えることだが、清潔な環境で健康的に暮らすことが最も大切である。 

ハンセン病 


 病原体:らい菌 
 感染力:極めて弱い 
潜伏期間:数年~数十年 
感染経路:飛沫感染、接触感染 
  症状:発疹、脱毛、疼痛 
 致死率:0% 
 治療法:薬物療法 

感染力が極めて弱く、感染しても発病する確率は非常に低い。さらに薬物による治療法が確立している上、菌自体に毒性は一切ない。 
これだけを見ると弱い感染症かと思われるが、皮膚の変形や脱落といった特徴的な症状から、実態以上に恐れられてきた最悪の伝染病の一つである。 

インフルエンザ 


 病原体:インフルエンザウイルス 
 感染力:強い 
潜伏期間:数日 
感染経路:飛沫感染、接触感染 
  症状:発熱、呼吸器疾患、疼痛 
 致死率:0.01%~20% 
 治療法:薬物療法 

おそらく日本人にとって最も馴染みの深い感染症。 
世界でも毎年数千万人以上が感染し、50万人近くが死亡していると推測されている。 
豚インフルエンザや香港かぜ、アジアかぜなど一定の間隔で凶悪化するのも特徴である。 
最大の流行となったスペインかぜが収束した理由は、「人類のほぼ全員が感染したから」。 

ペスト 


 病原体:ペスト菌 
 感染力:非常に強い 
潜伏期間:数日 
感染経路:飛沫感染、接触感染 
  症状:膿疱、壊死、多臓器不全 
 致死率:60~100% 
 治療法:薬物療法 

歴史上最も多くの人々を死亡させた最強の感染症。 
全世界で散発的に大流行が発生し、そのたびに人類を絶滅寸前まで追いやった実績は十分すぎるほどである。 
14世期のパンデミックでは当時の世界人口のおよそ四分の一にあたる一億人が死亡したとされる。 
なお鳥のようなマスク姿で有名な「ペスト医師」は17~18世期に出現したもので、中世のものではない。

エボラ出血熱 


 病原体:エボラウイルス 
 感染力:極めて強い 
潜伏期間:2~20日 
感染経路:飛沫感染、接触感染 
  症状:全身出血、多臓器不全 
 致死率:80~90% 
 治療法:なし 

1976年と最近になって発見されたばかりながら、数度の流行のたびに驚異的な猛威を振るっている。 
ヒトの免疫機能をすり抜ける特性があるため、健康な人間であっても感染リスクは低下しない。
空気感染しないため、感染者と接触しなければ感染リスクを大きく抑えることができる。 
感染者が他人に移す前に死亡するため、現時点で世界的大流行は起きていない。 

コレラ 


 病原体:コレラ菌 
 感染力:非常に強い 
潜伏期間:数時間~3日 
感染経路:経口感染 
  症状:下痢、嘔吐、血圧低下 
 致死率:70~80% 
 治療法:対処療法、薬物療法 

消化器官で増殖したコレラ菌により、水状の下痢や嘔吐が一日に数十回起こる。 
最大の死因は脱水症状のため、水分の補給が最大の治療となる。 
ただし消化器官の著しい疲労のため、経口補給は禁忌とされる。 
感染経路からも分かる通り、菌に汚染された食物が最大のリスクとなる。 

結核 


 病原体:結核菌 
 感染力:極めて強い 
潜伏期間:半年~2年 
感染経路:空気感染、飛沫感染 
  症状:発熱、咳、肺出血 
 致死率:50~70% 
 治療法:対処療法、薬物療法 

感染しても90%以上の人は発病しないと言われている。 
が、全世界の三分の一以上が感染していると推測され、現在世界で最も死者数の多い感染症の一つである。 
かつては「不治の病」と恐れられたが、決して過去の病気ではなく、日本でも毎年2000人近い人が結核により死んでいる。 

皆の腕にも残っているハンコ注射の跡は実は結核ワクチンの注射跡だ。 

コロナ 


 病原体:コロナウイルス 
 感染力:強い 
潜伏期間:2~14日 
感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染 
  症状:発熱、呼吸器疾患 
 致死率:0.01%~40% 
 治療法:対処療法 

近年記憶に新しいSARSウイルス、MERSウイルスや、現在進行形で世間を騒がせている、いわゆる新型コロナウイルスもこれである。 
自然宿主はトリ、コウモリ、ラクダ、ヒトなど多岐に渡り、広い守備範囲を誇る。 
特にMERSは致死率40~50%にもなり、近年大流行した感染症の中では致死率が格段に高くなっている。 
毎年発生する季節性の風邪の10~30%ほどはコロナウイルスが原因とされている。 

チフス 


 病原体:チフス菌 
 感染力:強い 
潜伏期間:1~2週間 
感染経路:経口感染 
  症状:発熱、腹痛、発疹 
 致死率:10~30 
 治療法:対処療法、薬物療法 

コレラと同様に、汚染された食物の摂取を主な感染源とする感染症。 
衛生環境が大きく改善した日本ではあまり馴染みがないが、世界では毎年数千万人が発症し、20万人近くが死亡している。 
16世期にはヨーロッパ人により持ち込まれたチフス菌により、中南米で1000万人以上が死亡したと言われる。

エイズ 


 病原体:ヒト免疫不全ウイルス 
 感染力:極めて弱い 
潜伏期間:数週間~10年 
感染経路:血液感染、母子感染、性的接触、肛門性交
  症状:あらゆる感染症 
 致死率:100% 
 治療法:薬物療法 

エイズの歴史は浅く
1981年に突如出現。全世界で毎年100~200万人を死亡させる。 
主な感染経路は、同性愛者による肛門性交によるものだとされている。

梅毒 


 病原体:梅毒トレポネーマ 
 感染力:極めて弱い 
潜伏期間:数週間 
感染経路:血液感染、母子感染、例のアレ 
  症状:発疹、腫瘍 
 致死率:30~40% 
 治療法:薬物療法 

「鼻が落ちる」という症状で有名な感染症。 
一般にはコロンブスが新大陸からヨーロッパに持ち込んだと言われているが、イタリアやドイツでは「フランス病」、フランスでは「イタリア病」、ロシアでは「ポーランド病」などと呼ばれている。 
治療を行わない場合全身の神経が冒されて死亡するが、初期症状が軽快した後に数年間無症状の時期が続くタチの悪さはエイズと同じである。 
皮膚症状の他に、頭痛、難聴、腹痛など様々な症状を引き起こす。 
間違っても画像検索してはいけない

マラリア 


 病原体:マラリア原虫 
 感染力:なし(ヒト-ヒト感染) 
潜伏期間:数週間 
感染経路:ハマダラカ 
  症状:発熱、腎不全 
 致死率:50~80% 
 治療法:薬物療法 

前述の結核、エイズと共に、世界三大感染症と言われている。 
放っておくと全身の赤血球を破壊する恐ろしい病気。 
人から人へは感染しないが、ハマダラカという熱帯地域に生息する蚊が媒介するため、感染者のほとんどは南米、東南アジア、そしてとりわけアフリカに集中している。 
世界では毎年2~3億人が感染し、50万人前後が死亡しているとされるが、衛生状態の悪かった二十年ほど前は数百万人が死亡していた。 
温暖化の影響でハマダラカの生息域は拡大しており、無限の可能性を持つ感染症である。 

ウイルス性脳炎

 
 病原体:フビラウイルス 
 感染力:なし(ヒト-ヒト感染) 
潜伏期間:数日 
感染経路:蚊 
  症状:発熱、頭痛、意識障害 
 致死率:10~50% 
 治療法:対処療法 

直接的には蚊によって媒介されるが、様々な鳥類や哺乳類に感染し、また感染源となりうる。 
デング熱、ジカ熱、日本脳炎、黄熱病などもこの仲間だ。 
多くは特効薬を持たず、また治療後も昏睡や麻痺といった恐ろしい後遺症が残ることがある。 
なおマラリアとは異なり、都会に生息する蚊からも感染しうる。 
今世紀のアメリカでも毎年100人以上の死者が出ていた。 

狂犬病 


 病原体:狂犬病 
 感染力:なし(ヒト-ヒト感染) 
潜伏期間:数週間~数ヶ月 
感染経路:咬傷 
  症状:知覚異常、狂騒、昏睡 
 致死率:100% 
 治療法:なし 

人から人へと感染しないため、歴史上大流行したことはない感染症。 
狂犬病ウイルスを保持した哺乳類に噛まれると、咬傷部位からウイルスが脳に向かって侵攻する。 
ウイルスが脳に到達し発症すると、もはや助かる見込みはない。 
水を怖がるようになる特徴的な症状から、別名「恐水症」とも呼ばれる。 
野生動物に噛まれたら、必ず保健所に連絡しましょう。 

天然痘 


 病原体:天然痘ウイルス 
 感染力:極めて強い 
潜伏期間:1~2週間 
感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染 
  症状:発熱、発疹、呼吸障害 
 致死率:20~50% 
 治療法:対処療法、薬物療法 

歴史上世界各地で数回のパンデミックを起こしてきた、ペストと並ぶ感染症界の双璧。 
その流行は各国の歴史にも大きな影響を及ぼしてきた。 
日本において大仏建立の機運が高まったのも、天然痘の流行による社会不安の増大が一因である。 
特に悲惨であったのは天然痘への免疫を持たなかったアメリカ先住民であり、繁栄の絶頂にあったアステカとインカ帝国では、スペイン人の持ち込んだ天然痘により人口の95%が死亡した。 
人にしか感染しないこと、一度かかると二度と感染しない(=ワクチンが効果的)ことにより、1980年、史上初めて人類の手で撲滅された感染症となった。 
現在自然界に天然痘ウイルスは存在しない

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