法学部生必見 刑法論述問題の書き方「親族相盗例 窃盗罪」

親族相当例、盗品等に関する罪

 甲は、母親Aの宝飾品を盗み出そうと家出中の実家に忍び込み、Aの宝石箱から指輪を持ち出した。しかし、甲がAのものだと思っていた指輪は、実はAが友人から借りているものだった。後日、甲は、Aと同居している甲の弟乙に、Aから盗んできた物であることを告げて上記指輪を売り渡した。その際、乙もこの指輪がAの所有する物だと信じていた。

 甲および乙の罪責を論ぜよ。

論点

(1)甲は、家出中であるが、母親Aの装飾品を盗むため実家に入った。

(2)甲は、母親Aの宝石箱から指輪を持ち出したが、それは友人からの借り物であった。

(3)甲は、母親Aと同居の弟・乙に対して、指輪が母親Aから盗んだものであることを告げて、売りに出した。乙もそれが母親の物であると信じていた。

解答例

(1)甲は、家出中であるが、母親Aの装飾品を盗むため実家に入った。

1甲の行為は住居侵入罪にあたるか。

2住居侵入罪とは、他人の住居に許可なく立ち入る行為である。

3甲は、家出中であるものの、母親Aの住居に立ち入った。

4甲が立ち入ったのは母親Aが暮らす実家であった。しかし、甲は家出中であった。甲は家出中であり、Aが暮らす家での居住の実態はない以上、たとえ実家であっても、そこは他人が居住する住居にあたる。

5甲には住居侵入罪が成立する(刑法103条前段)。

(2)甲は、母親Aの宝石箱から指輪を持ち出したが、それは友人からの借り物であった。

1甲は母親Aの宝石箱から指輪を盗んだ。この行為は窃盗にあたるか。

2甲は、母親Aが占有する宝石を自己の支配領域内に移転させているので、窃盗罪が成立する。

3甲の窃盗行為に親族相盗例を適用できるか。

4親族相盗例が適用されるためには、窃盗の行為者、財物の占有者、財物の所有者の間に親族関係があることを要する。窃盗の行為者甲と指輪の占有者Aとの間には親族関係があるが、所有者との間にはない。従って、親族相盗例は適用できない。

 ただし、甲はその指輪がAの物だと錯誤していた。その錯誤は窃盗罪の成否に影響するか。親族相盗例による刑の免除は、窃盗罪は成立しているが、政策的見地から親族ゆえに一身的に刑罰を阻却する事由であるので、親族関係がない以上、錯誤があっても窃盗罪の成立は否定されない。

5従って、甲には窃盗罪が成立する。

(3)甲は、母親Aと同居の弟・乙に対して、指輪が母親Aから盗んだものであることを告げて、乙に売りに出した。乙もそれが母親の物であると信じていた。

1乙に盗品等の有償譲受けの罪が成立するか。

2盗品等の有償譲受けの罪とは、窃盗罪など財産に対する罪によって領得された物を他人に有償で譲り渡す行為である。

3乙は、指輪が甲がAから盗んできたものであることを知りながら、有償で買い受けた。

4乙の行為は盗品等の有償譲受けにあたる。また、乙とAとの間に親族関係はあるが、その所有者との間にはないので、親族相盗例は適用されない。その錯誤も盗品等の有償譲受けの罪の成立に影響を与えない。

5従って、乙には盗品等の有償譲受けの罪が成立する。

結論

 甲には、住居侵入罪と窃盗罪が成立する。両罪は牽連犯の関係に立つ。

 乙には、盗品等の有償譲受けの罪が成立する。

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